【読書】硝子の塔の殺人

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いわゆる本格ミステリの犯人当てとトリックの謎解きを楽しみたかったので、2022年本屋大賞ノミネートとして評判の良い本書を読んでみた。
文体も読みやすくボリュームはあったがどんどん読み進められて面白かった。
もちろんこんな都合よくいくかいって部分もあるが、裏表紙にも書いてある通り、読者への挑戦状とどんでん返しを楽しめる作品だったと思う。

(ネタバレあり)

事件の流れ

クローズドサークル物で、硝子の塔に招待された客の中で殺人事件が起こる。

序盤は主人公の一条遊馬が起こす毒殺からスタートする。倒叙ミステリー的な展開なのかなと思ったが、この厚さでこれだけでは終わるまいと思いながら読み進める。思ったほど遊馬が疑われていないのは探偵役がわざと見逃しているのかなとも思ったり。
そんな中、次の事件が発生してしまう。

遊馬以外の犯人による二番目、三番目の事件が発生したお陰で、遊馬がアクションを起こす。
まだ自分が犯人とばれないうちに、最初の事件についてもそいつに擦り付けてしまおうという計画だ。
そのため、探偵役の碧月夜に直談判してワトソン役に就任することに成功し、犯人を探し出そうとする。

連続殺人の犯人

結局、最初の事件の犯人が遊馬であることも二番目以降の犯人についても判明し、遊馬は硝子の塔の一室に閉じ込められることとなる。
二番目以降の犯人も月夜が謎解きをする段階になると読者側でも見当は付くのだが、事件のトリックについては全くわからなかった。
でも本の残りを考えると、これで一件落着とならないことは読み取れる。遊馬が閉じ込められたままで終わる展開にはならないと。

真相が判明

遊馬が脱出して硝子の塔を調べるうちに真相にたどり着く。この真相がどんでん返しの部分である。
当初この一連の事件は、招待された客に対するイベントでリアル脱出ゲームみたいなものだった。仕掛けられた側は本当の事件だと思ってしまうのだが、ある時点までは演出にすぎなかった。
ところが、それを本当の殺人事件にしてしまった怪物がいたというのが真相。作中にやたらとメタと言う言葉が出てくるのはこれのヒントだった。
その怪物の正体についても、インパクトを与えるのならこいつしかいないよなぁって気づく。碧月夜だ。
本当の名探偵に出会いたい彼女は出来の悪い事件では満足できず、事件の質をより高めたかったということらしい。
このメタ視点でのトリックは見抜けなかったので中々の衝撃だった。

碧月夜

月夜がサイコでミステリマニアである濃いキャラと男装の麗人であるため目立ちすぎる部分はあったが、後半に入るまではこういうライトな探偵もいるかなくらいの認識でいた。
あと、月夜が出すミステリー蘊蓄の幅が狭いと言われているようだが、自分が読んだことある作品も多く触れていたのでそれはそれで面白かった。
本作は特に有名なミステリを読んでいなくても楽しめるが「十角館の殺人」と「そして誰もいなくなった」を読んでおくとちょっと面白さは増すかも。
彼女は真賀田 四季のような存在になったのかな。
月夜が次なる事件を起こす続編を希望したい。
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硝子の塔の殺人 (実業之日本社文庫) - 知念 実希人
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