【ドラマ感想】ロード・オブ・ザ・リング:力の指輪 シーズン1

遅ればせながら、『ロード・オブ・ザ・リング:力の指輪』のシーズン1を観てみた。海外のアマプラでは好評だったらしいので。『指輪物語』にはそれだけ訴求力があるということなんだろうね。
開始当初はポリコレに気を使いすぎて世界観を壊していると、日本でも酷評があった。『指輪物語』ファンの自分としてもちょっと違うよなぁというキャスティングであることは同意できる。
ただ、それで「観ない」としてしまうにはもったいない出来だと思った。
映画『ロード・オブ・ザ・リング』の前日譚となる本作だが、王道の西洋ファンタジー世界の冒険を堪能できるドラマだ。
(ネタばれあり)
主人公ガラドリエル
若き日のガラドリエルを主人公に、おそらくあの一つの指輪を作り、サウロンを倒したあと一つの指輪が失われるまでを描くシリーズになると思われる。
シーズン1では一つの指輪の前に作られる、エルフの三つの指輪が完成するまでを描く。
ガラドリエルの1話の動きはよくわからない部分もあったが、ガラドリエルはとにかく悪が復活することを心配しているというのが行動原理にある。だが、エルフの王ギル=ガラドはもう平和だから余計な心配するなっていう立場だ。というのも、悪のボスだったモルゴスは倒されたのだから。しかし、モルゴスの部下で後に冥王となるサウロンが復活しようとしているという不安があるのだ。
『指輪物語』だとエルフの魔法使いのイメージなのだが、本作では隊長や戦士として活躍している。
主な舞台はヌーメノール
そんなガラドリエルが長く滞在するのは人間の国(正確にはちょっと違うのだがめんどくさいので省く)ヌーメノール王国となる。『指輪物語』本編では名前でしか出てこないし『追補編』でも古く滅びた王国としての印象しかなくて、こうして映像化されると初めて『追補編』の内容も頭に入ってきやすくなった。末期のヌーメノールであったとしてもこれだけの繁栄を誇っていたのかと。
エルフに協力する、しないでずっと揉めているが結局ガラドリエルの言葉に協力することに。ガラドリエルを信用したというよりは、一緒にいた南方国の王の末裔ハルブランドの言葉を信じたような展開になる。ハルブランドは雰囲気がアラゴルンみたいで後に強力な味方になりそうだなぁという雰囲気を持たせつつも、影の部分が強く出ている。
南方国がオークに襲われているってことが予想されるので、ヌーメノールから援軍を出すことに。しかしこの間、具体的に敵がいるっていう証拠がなく根拠になったのはガラドリエルとハルブランドの言葉だけだっけ?
南方国
黒人のエルフがいるのおかしいというので話題になった南方国パート。エルフって北欧神話のイメージなので確かにちょっと違うと思う。アロンディルはエルフでなくても良かったような。
ここはかつてモルゴスに味方した人間の国だが今はエルフに見張られている。そしてオーク達に侵略されそうだというのが分かり、主な戦いの舞台となる土地。
南方国ってなんだろう?って『指輪物語』好きだと気になるところだろう。ゴンドールはまだできていないし、ハラドのことだろうかと。
そしたら最終話でわかることだが、なんと後のモルドールとなる場所だった。つまりサウロンの支配下におさまる国となる土地なのだ。
滅びの山が登場するシーンは、あのアイテムはこれにつながっていたのかと驚きがあった。
オークとの戦いと滅びの山が登場する第6話はイベント盛りだくさんだったな。
ハーフット
『指輪物語』はホビットが主人公なので登場人物としては切っても切り離せない種族ホビット。今回はホビットと呼ばれずにハーフットという種族名で登場する。だが今のところそんなに重要なポジションではなく、このハーフットパートで重要なのはそれに絡むことになる「よそびと」と呼ばれる記憶喪失っぽい男の方。
明言はされていないが、おそらく灰色の魔法使いガンダルフが記憶を失って現れた姿である。
エルロンド
エルロンドは数少ないガラドリエルの理解者だが、物語のほとんどは彼女ではなくドワーフの王子ドゥリンと一緒にいることになる。
なぜかというとエルフはミスリルが無いと滅んじゃうらしいのだが、それはドワーフのいる洞窟にしかないので、助けてくれーって言いに来ているからだ。
だが、結局一欠けらしかミスリルをもらえなかったので、それを使って例の三つの指輪を作るという流れとなる。
サウロンの帰還
最終話に色々怪しい動きを見せていたハルブランドが、実はサウロンであることが発覚。アラゴルンのような亡国の王ではなかった。
そしてオークがやってきてモルドールと名前を変えた南方国に侵入した。ハルブランドは癖のあっていいキャラだったので、この悪の王の帰還はこれから楽しみだ。まだ力を取り戻していなさそうだし。
シーズン1は準備が整ったという感じだろうか。『追補編』にある年表通りだと時間がかかりすぎるのでぎゅっとしているらしいが、あの時代の流れをドラマとして観る分には期待が持てる内容だと思う。
今後、サウロンがヌーメノールに入り込んで崩壊させ、そして一つの指輪を完成させた後の一大決戦に臨み、最後イシルデュア(ドラマではイシルデュル)に指輪を奪われるまで、描かれると思うと楽しみだ。


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