【ドラマ感想】全領域異常解決室

いやぁ。画期的なドラマだったな、全領域異常解決室。
日本版アベンジャーズと言うか、ヒーローズの方が近いかな。日本のドラマなら「SPEC」が近いか。
能力バトル物を地上波のプライムタイムのドラマで観ることができるとは。
しかも能力の題材が日本神話から採られているのも盲点だった。自分は日本人だが、日本神話の知識は余り無かったなとういうのに気づかされた作品でもある。
(ネタばれあり)
最初はよくある感じかなと思った
不思議な事件を追う捜査機関「全領域異常解決室」にいる興玉雅と雨野小夢がバディを組んで謎を解くミステリー。
藤原竜也演じる冷静な興玉と、広瀬アリス演じるおっちょこちょいな雨野というコンビも定番だなって思っていた。
全決と反目する捜査一課のヒルコ専従班もよくあるライバルって感じだし。
1話から4話に起きる事件については、超常現象的だと思わせつつ実はトリックがあったという内容だったので、こういう展開で進んでいくのだろうなという想像をしていた。
なので全体通しての伏線であるヒルコ事件についてもきっと種がある話なんだと思い込んでいた。
転換点の第五話
そんな先入観が打ち砕かれたのが第五話。なぜなら、このエピソードの登場人物が、本当に能力を持っていたから。しかもそれが日本神話の神の生まれ変わりとは。第五話を観終わったとき、この物語は超自然の力が実在する世界だったのかと衝撃があった。
その後は知られるとおり、能力者が数多くいて皆八百万の神の生まれ変わりだという設定が披露される。これは画期的だぞって思った。
ただ、神の生まれ変わりといっても万能ではなく、神の特徴に合わせた能力が使えるという存在が多神教の神話の神って感じで面白い。
ヒルコの神隠し事件
各話と並行して軸となる神隠し事件が、その名の通り神の生まれ変わりを排除していっている事件だと知れる。
なぜそれを行っているのかとヒルコって誰なんだというのが物語後半の主軸となる。
ヒルコの目的は「修理固成」と呼んでいた神の総入れ替えをすることだというのが、ちょいちょい登場するラスボス感ただよう寿正から発せられるようになる。
ヒルコの正体についての考察がネット上でされていたが、蛭子を祭る蛭子神社が通称二宮神社と言うらしいので、ヒルコ専従班の二宮説が説得力あるかなと思っていた。実際最終話の途中までそれを確信していたが二宮すら操られていて、ヒルコの正体は内閣官房国家安全担当審議官の直毘だった。
しかも直毘は不老不死の力を得た役小角で、事戸を渡す力を持っているという。
事戸を渡すって?
この物語の鍵となる言葉「事戸を渡す」。人間の体が死ぬと別の体に転生するが、ドラマ上では事戸を渡すとは人間に宿る神の魂を人間の体から強制的に消滅させることらしい。
ただ、いくつかパターンがいくつかあって、単に人間から神に関する記憶を消す(五話の誘拐犯に使った)、消滅しても復活させることができる(事戸を渡された雨野に神が戻るかみたいな話があったので)、神の存在そのものが消滅する(一連の神隠し事件)の三つがあるっぽい。という整理でよいのだろうか?ここら辺、よくわからなかった。
修理固成
ヒルコがやろうとしていた神隠し事件の目的。ラグナロックみたいなもの?SPECでも似たような計画があったような。
この作品のテーマが人間に守る価値はあるのか?ということで、人間を甘やかしてきた神々を強制的に排除し、新たな神々を誕生させることだったようだ。新たな神々を誕生させるの部分についてはどこまで本気だったのかは分からないが。
神隠し事件で各個撃破してきたヒルコだが、興玉が実は天石門別神の魂を持つことが分かったのでいかに興玉を消すかに目的が変わる。
天石門別神を倒すと今の神々が一掃されてしまうという、興玉は神々側の弱点になった。やたら前に出て動き回る弱点だけどね。
直毘がヒルコ専従班の荒波の協力で逮捕されたので、修理固成は阻止された。そういえば荒波も実は須佐之男では?なんて考察もあったが、スサノオは別にいたので違っていた。
今後の展開
気になる大きな伏線は二つ。
一つは、雨野にはもう天宇受売命の力は戻らないのか?雨野から最後に神の記憶を消そうとしたとき、なんか細工をしたっぽい描写があったので。
もう一つは、逃亡した二宮が何をしようとしているのか。カルト教団にいたみたいなことが言われていたが、修理固成を成就させようとしているのではなかろうか。
それと、ヒルコが役小角というオチで物語上は綺麗に収まったと思うのだけど、ついつい深読みしてこれすら操られていたなんて展開になるんじゃないかなぁと疑ってしまう。
なんか感動とかは特になくて、セリフもベタだなぁって思うものが多かったのだけど、設定の面白さだけで突っ走ったドラマだったかな。


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