【読書】そして誰もいなくなった

ダウンロード.jpg

おすすめのミステリを探していると必ずと言っていいほど名前が挙がる、アガサ・クリスティーの『そして誰もいなくなった』。
もはや推理小説の古典みたいなものだろうと、ちょっと敬遠してしまっていた。それに海外作品て表現が回りくどくていざ読もうとすると体力を必要とする。
通勤で読もうと思ってネットで検索するとあまりにもその名を見るので、こうなったら一度触れておこうと思い、読んでみた。

本作はいわゆるクローズドサークル物と見立て殺人物を合わせた作品で、いわばそのジャンルの教科書的な位置づけと言ってもいいようだ。
そして読む前の予想と違って、読みにくくなかった。回りくどい説明文があまりなかったのは、逆に昔の作品だからなのかアガサ・クリスティーだからなのか分からないが。

(ネタばれあり)

犠牲となる対象者十人が集められ、法で裁かれていない彼らの罪を裁くというダークナイト的な目的で事件が展開されていく。
ただ、その十人全員の特徴は最後までつかめなかったが、そこはテンポの良さとのトレードオフなのだろうか。巻末の解説ではキャラの違いをうまくかき分けている書いてあったが、今の自分ではわかりづらかった。
特徴のある人はわかるんだけどね、女性二人、判事、医師は特徴がはっきりしていたんだけど、他のメンバーがなぁ。軍人二人とか区別着かなかったし、警察官も終盤までそんなに活躍しないし。あと職業不詳のやつも何人かいて、名前が出るたびにこれ誰だっけって巻頭の人物紹介まで戻ってしまった。

真相

種明かしされるまで真犯人を自信をもってはわからなかった。もしかしたらこの十人の中に犯人がいないって落ちもあるのかとさえ一瞬考えてしまった。
最後の方はヴェラが犯人なのかなあって思いながら読んでいたが違っていた。
ダークナイト的な動機を考えると犯人がウォーグレイヴなのはむしろ正当な結果のような気がしてスッキリする。
wikiによると途中に三つのヒントがあるとのことだが、
①罪状の真偽
②燻製ニシン
③カインの刻印
そのうち②③についてはその文化の知識がないと日本人では気づきにくいのではなかろうか。
どちらかというと、医師が検死をした後の展開があっさりしているなってなんとなく思ったかな。

感想

予想に反して面白かった。おすすめに出るわけだ。むしろ海外作品の中では読みやすいかもしれない。
本作にインスパイアされて書かれた作品、西村京太郎『殺しの双曲線』と綾辻行人『十角館の殺人』については読んだことがあったのだけど、確かにこんな場面あったわっていうのが色々盛り込まれているのが分かった。

にほんブログ村 本ブログ 読書日記へ


そして誰もいなくなった (クリスティー文庫) - アガサ・クリスティー, 青木 久惠, 青木久惠
そして誰もいなくなった (クリスティー文庫) - アガサ・クリスティー, 青木 久惠, 青木久惠

この記事へのコメント