【映画感想】仕掛人・藤枝梅安
以前、渡辺謙主演のテレビドラマで観てた藤枝梅安。あの静かに針を刺す暗殺者の雰囲気が好きで、CSで再放送されるとつい観たりしていた。原作は必殺仕事人のモチーフにもなった作品だということだ。
今回改めてトヨエツ主演で映画化されると聞き、興味を持って第一作目を観に行った。
国内外に時代劇のエンターテインメントとしてアピールしたいというから変に派手にしてほしくないと思っていたが、ちゃんと堅実な世界観を表現していた。
ストーリー
ストーリーは、梅安の初回と言えばの妹殺し。原作『おんなごろし』のエピソードにもある通り、梅安が受けた仕掛の依頼のターゲットであるおみのが、幼いころ生き別れた妹だったという話。
それに加えて相棒の彦次郎が受けた仕掛の依頼のターゲットもおみのとつながっていて、ターゲットらの悪事を認識して、二人がプロとして仕掛けを行う流れ。
また、ナレーションを彦次郎がやっている。
登場人物
梅安と彦次郎のコンビがいい。同じ世界に生きる同志という感じの関係性がよい。
本作のテーマとなっている、人間は良いことも悪いことも行う矛盾した存在なんだという共通認識がある。
仕掛は冷静に、仕掛けと関係ないシーンは庶民ぽく、自然な演技をしている。特に食事のシーンは料理そのものもおいしそうだが、緊張感が解ける場面だ。
今回にあたって、豊川悦司が実際に鍼医の指導も受けたらしい。片岡愛之助もドラマでよく見るいつもの甲高い声とは違う落ち着いた声で違和感がない。
終盤、梅安がそっと侵入して仕掛けを行うシーンは、アングルも姿が影になっているところも含めて格好いい。
本作では、梅安はダークヒーローという位置づけらしい。
一番のターゲットとなるおみのが、普段のこざっぱりとした天海祐希とは違う、美人だけど底辺を生き抜いてきた魅力を出している。
それと、早乙女太一の殺陣はこの映画唯一の派手なシーンだが、キレキレで格好いい。
高畑 淳子のおせきをはじめ、他の登場人物も世界に溶け込んでいる。
あと、若林豪がどこに出ているのか、最初気づかなかった。
感想
変なお涙頂戴ではなく、無駄なシーンを極力省いてテンポよく展開していく。仕掛けが終わるまで集中して観れた。
こういう時代劇なら今の時代でも楽しめると思う。
俺の観た回はお年寄りばかりだったので、若い人にも観てもらえるような宣伝を作るともっとよかったかもなぁ。
ただ、お年寄りのお客さんの良いところは、笑うシーンでしっかり笑ってくれる人がいることかな。
あと、エンドロールの後に二作目の引きがあるので、終わりまで待った方が良い。
エンドロール中に帰っちゃう人が結構いた。
一作目は梅安の過去に関するエピソードで、4月にやる二作目は彦さんの過去に関するエピソードだね。

お気楽日記ランキング

殺しの四人 仕掛人・藤枝梅安(一) (講談社文庫) - 池波正太郎
この記事へのコメント