【読書】ルビンの壺が割れた
ルビンの壺って目の錯覚に関連した心理学用語らしいね。昔テレビ番組で観たことはあったけど用語としては知らなかった。
本屋で見かけた帯の「日本一の大どんでん返しと断言したい」という文言に惹かれて購入した。
先にWEB上で公開されていたらしく、東野幸治も勧めていて(その時のアメトークを観ていたはずだが記憶から消えていた)、また著者も謎だったとかで話題があったらしいのだが全然知らなかった。
たまに本屋で散策するのもいいね。
概要
厚さも薄く文章も読みやすいので、数時間もあれば読み終わる。ネット小説ってこんな感じなのね。
内容は、今っぽくフェイスブックのメッセンジャーでのやりとりということになっているが、男と女の往復書簡だけが綴られている。
メッセンジャーにしては長文も多いので、メールでのやりとりという方が細かいけどしっくりくるかな。
この男女は過去に結婚直前まで進んでいた仲らしいということが序盤に明らかなになり、懐かしんでいるのかなぁという文章が続くのだが、どんでん返しを謳っているだけあって懐かしいだけでは終わらない展開になる。
避けている話題があるなと感じさせるやりとりとなっていく。
ネタばれあらすじ
男女ともに、懐かしさもあるが後半になってくると隠していた過去が露わにされてしまう。
最初から男・水谷一馬の内容は、よくよく考えると気持ち悪いよなって部分が散見される。
一見丁寧にあしらっている女・未帆子の方にも隠し事があるのが見て取れる。
水谷は女性に対して一方的に好きになるが、女性の現実を見て一方的に敵意を持つタイプ。
恐らく女性を支配したい欲求があり、物語の前に幼女殺人を犯して実刑をくらっていたのだ。
一方で未帆子も知られたくない過去があったことを水谷に知られていたことが分かる。
そしてこのやり取りの中で、未解決だった事件の犯人が水谷であることも発覚する流れとなっている。
未帆子は最後の最後で水谷に引導を渡す役割となる。
感想
何かあるんだろうなと思いつつ、相手に怪しまれないように距離を測りながらのメールのやりとりが、社交辞令的な文体と相反しながら緊張感をじわじわ醸し出していく。
序盤から色々伏線を散りばめられていて、どんでん返しというか「ああ、これはこのことだったか」と終盤に答え合わせをしていく面白さだろうか。
すぐ読めるし、暇つぶしにちょうど良い。

ルビンの壺が割れた(新潮文庫) - 宿野かほる


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