【ドラマ感想】幻夜・白夜行


自分の中の東野圭吾チャレンジ。やっぱり女子向けというかライトな感じの印象がぬぐえない同氏の作品だが、もっとシリアスなのを知りたいので有名なこの作品にチャレンジしてみた。といっても原作は未読で、CSでたまたま両作品を録画していたので観てみることにした。
特に白夜行は東野圭吾を検索すればよく目にする代表作のような作品らしい。
幻夜は主演が深キョンのWOWOW版。白夜行は主演が綾瀬はるかのTBS版を観た。くしくもホリプロの女優のリレーになっているかのようだね。
(ネタばれあり)
幻夜
先に録画していたので先に観たのはこちらからだった。
軸は、深キョン演じる新海美冬が偶然知り合った水原雅也を利用してのし上がっていく話。二人は震災の避難所で知り合ったが、雅也はそこで美冬に依存するようになってしまっていた。
水原雅也を焚きつけてというか手の平で転がして、美冬は自分の邪魔者を排除する犯罪を重ねていく。美冬に惚れまくっている雅也が実行犯、美冬が計画犯という関係性が徹底されている。
美冬をずっと怪しいとにらんでいた刑事加藤と相棒の雅也が最後に相打ちで死亡したため、美冬の一人勝ちで終わる。
悪女が逃げ切ったという結末はなかなか挑戦的で良かった。
調べると、どうも幻夜という作品の前日譚として白夜行という作品が位置付けられているとのこと(幻夜が白夜行の後日譚?)。
新海美冬は、どうやら白夜行のヒロイン西本雪穂が名を変えた姿らしいというではないか。
そこで白夜行に興味を持った。
白夜行
基本的な構図は幻夜と同じで、西本雪穂がのし上がっていく話。
そして邪魔者を消すために桐原亮司という男を実行犯にして犯罪を重ねていく。
ただ、決定的に幻夜と違うのは、西本雪穂と桐原亮司がただ利用するしないの関係よりは強い絆を持っているということだ。
この二人はいわば親ガチャの被害者で、亮司の父親の性癖を満たすために雪穂の母親が雪穂を売るという地上波ドラマでは表現が難しそうな状況にいた。そしてその状況を受け入れられなくて小学生の時にお互いの親を殺害し、隠し通すことにした共犯の関係となった。
原作にはないこの二人の心情にスポットを当てたTBSドラマ版だが、確かにこのスタート時点の事件については共感できるものがある。
ところがその後は雪穂の個人的な欲求を満たすために亮司を利用するという展開が続き、いくら可哀想な境遇とか絆とか言われていも、ちょっとなぁ。。。って感じだった。
感動に持っていきたそうな展開なんだけど、全然共感できない犯罪だなぁって。それに、仕組んだことが綱渡り的だしね。
原作ファンの人は二人の心情が見えない犯罪モンスター的なところと、ドラマ版の差に違和感を感じていたようだ。
個人的には、二人が犯罪に関わる経緯が分かったので、ドラマ版に違和感を感じてはいない(原作未読だけど)。
最後、元刑事の笹垣が真相に迫る中、雪穂を犯罪者にさせないために亮司がすべてを背負って自殺する。
無事時効を迎えて雪穂は勝者となったんだろうな。亮司は雪穂に愛情を持っていたが、雪穂は亮司に対して同志として接していたのではなかろうか。
まとめ
けっこう重たい作品で、今まで観たり読んだりした東野圭吾作品とはイメージが違って楽しめた。
世間が思うほど胸打つことはなかったけど、主人公達にうまく逃げ延びてほしいと、途中まで思わせる展開は良かったと思う。
作品の面白さは白夜行の方が上かな。登場人物達と主人公達との密度が全然違うしね。
TBS白夜行のキャスティングは中々良くて、小出恵介、田中圭、柏原崇は自然体でうまいね。
でも一番良かったのは渡部篤郎の松浦かな。悪い奴だけど憎めない感じが。




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