【ドラマ感想】沈まぬ太陽

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大型連休を使って、録画していたWOWOWドラマの沈まぬ太陽の一挙放送を観た。
原作者は山崎豊子で、組織の闇と戦う力作。観ていて続きが気になって全20話もあるが全話観てしまった。

主人公の恩地が、自身の務める国民航空(JALがモデル)の腐敗した経営陣と戦う話。
真面目な恩地が労働組合の委員長に就任したばっかりに、真面目に労使交渉を行って経営陣に嫌われてしまう。
そこから懲罰人事で海外の僻地に10年もたらい回しにされてしまう様子は、もはやヨブ記かと思うような試練の連続だ。

その選択をすれば、当然帰国のチャンスを失うのが想像できるのに、安易な妥協には屈しないのが恩地なのだ。
「この人事はおかしい」って憤る恩地を観て、さすがに視聴者側もそれは予測できるだろうってツッコみたくなるが、観ていて辛い状況だ。
これに付き合わされている家族可哀想だな。俺なら辞めちゃうな。
これの僻地の10年をしっかり8話使って描いているからこそ、登場人物の関係性もしっかり視聴者に伝わる重要な前半部分だ。

一方、恩地の同期の行天は行動を起こすには会社の中枢に入らないといけないと決意し、腐敗した中枢部に取り入るように出世していく。
ここらへん、同じ原作者の白い巨塔における、財前と里見の関係に似ている(財前はもっと欲が勝っていたか?)。

日本に戻ってきた恩地だが、その矢先に飛行機墜落事故が起きる。御巣鷹山事故をモチーフにしたこの出来事によって恩地を目の敵にしていた堂本社長は辞任する羽目になるが、やっかいもの扱いの恩地は遺族の世話係という末端の仕事に回されることになる。
飛行機墜落事故自体は、このドラマでは組織の問題点の象徴の一つという感じで、物語自体の中軸にはなっていない。
御巣鷹山事故って、自分が子供の頃こんなニュースやってたなという印象が残っている程度だが、単独飛行機事故では最大の犠牲者だったんだね。

ここでがらりと変わるのが、国民航空立て直しのために新会長国見が就任することになってからだ。
国見によって恩地は会長室のスタッフに取り立てられ、腐敗と戦うことになる。
が、腐敗した上層部はあの手この手で邪魔をしてくるので、膿が中々取り除かれない。
しまいには政治家も巻き込んで国見や恩地は翻弄される。

最終的に国見は一つの問題にケリを付けたものの任期途中で辞任。
恩地はまたアフリカに飛ばされることに。
だが、一部の腐敗した連中もその地位を失い、腐敗の片棒を担いでいた行天は起訴されることに。

完全にスッキリしない苦いオチは、リアルな社会派山崎豊子の原作ならではという感じでしょうか。
恩地がアフリカを気に入っちゃうあたりは、そんな気分によくなるなと引いちゃうわ。
てっきり奥さん離婚するかと思った。

小説とはいえそうとう取材したらしいので、こういった腐敗はJALで本当にあったんだろうなぁ。
JALの立て直しっていうと稲盛さんの改革の印象が強いが、ずっと根深い腐敗が残っていたのかとwikipediaで調べてしまった。

暗いドラマだけどテンポがいいし、つい続きが気になって続けて観てしまう。地上波では見られない重厚な作品。
地上波だともっと大げさにしてもっとくどくなりそうで、かえってチャチくなりそう。
WOWOW御用達の役者オールスターズって感じで、ジャニーズやアイドルが出てないので安心して観れる。

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