【読書感想】教団X

以前、アメトークで紹介されていたのを見て興味を持っていたが、文庫化を機に読んでみた。
正直な感想としては、期待したものとは違っていた。

てっきり、宗教のあり方についての革新的な提言をする問題作のような、そんな期待感があったのだけど、
基本的にはオウム事件の焼き直しのような怪しい新興カルトが事件を起こすお話。
宗教への提言もあるんだけど、本筋のストーリーとは関係ない。

主人公の楢崎は主体性のない男で、失踪した女性立花涼子を探して、松尾という男の主催する宗教セミナーに参加する。
松尾の元に涼子はいなくて、そこから沢渡が主宰する問題のカルト教団である教団Xに入っている。
楢崎は成り行きで教団Xに入り込むことになる。

色々な感想で書かれているとおり、教団Xはとにかく性行為ばかり行う教団なので、その部分の記述が多く、エロ小説読んでると思われたくいないので電車で読むのが途中でつらくなった。
楢崎の行動は教団Xの行う事件とはほとんど関係なく、高原という教団ナンバー2の行うテロ計画、高原を巡る立花涼子と峰野という二人の女の行動が鍵となる。

話が薄くて展開に驚きが少なく、若干中二病のような描写がある。
政治的な主張も散見されるが、これはカルト教団の信者だからおかしなことを語っているのか、著者が思っている思想が偏っているのか判断が難しかった。前者であることを信じたい。

宗教的な主張という意味では松尾のメッセージがそれに当たるのだろうが、本筋と分離しており、しかも長く、まったく入ってこなかった。

他の感想を探しているうちに「これはサスペンスではなく純文学なんだ」という記事を見つけ、なるほど、自分は純文学は合わないんだなと納得した。

教団X (集英社文庫)
集英社
2017-06-22
中村 文則

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